最後に一言、ずれたときどうすればいいのか、と聞かれることがしばしばあります。マジシャン達は、そんなことよりも、態度にでないようにすればよいとか、万能の言葉、演技にミスディレクションがかかってていれば大丈夫だ??とか、自分が気にするほど人は気がつかないのだとか、手順が流れに乗っていれば大丈夫だとか、等々。
 そして、それを横で聞いている、カーディシャンは黙って冷笑しています。たしかにそのとうりなのだが、やめたほうがいい。その程度のことしかできないのならば、その程度のことしか質問できないのなら、やめたほうがいい。
 この技法の解説に当たって、私は、主語を言った時は、述語を言わず、述語をいったときは、主語を言わないように、ガイドとかセレクトとかわかったような、わからない様な言葉で、ずっと肝心なことを言わずに、説明してきました。
 こういう質問は、まったく初心者の方に対して失礼極まりない。その質問は、少なくとも何をどうしたかを知っている人間の発する質問であって、その答えは唯一つだけなのです。
 練習不足、もう情けなくて涙が出る。この技法が生まれ出てきた背景も、その価値も、そしてその未来も何もわかっていない。
 一体あなたは、何回練習したのだ。私は、前述した回数に近づいていると実感している。

    

 最後は、ダブルリフトの中の傑作中の傑作です。このやり方に最初に出会っていたならば、おそらくこのやり方を自分のやり方にしていたと思います。しかし、当時の私は、このような夢のような方法があるとは、思いもしなかったのです。
 当時の、書き残した文章を見ますと、この方法を東大の現役生の下河原君に教えてもらったと記録がありますので、おそらくそうだったのではないかと思います。
 そうだよ、私にも東大生の友人がいたのです。「お元気ですか、下河原さん。出世なさったんだろうな。私のほうは、あいもかわらず、貧乏学生の延長そのままの、カードフリークです。もしこのホームページにおこしになったら、ぜひメールください。」
 少々前ふりが長かったので、本題に戻ります。この方法は、サイエンドフィールドの考案による方法です。そうだんだん思い出してきました。確か初めて見せてもらったのは、Y.M.Gの植木さんではなかったかと思います。
 そう、そう、そのあと、確か銀座の洋書やさんで、サイエンドフィールドの本を見て、その中の写真で確か納得した覚えがあります。ただし大昔のことなので、確信は自分にしかないので違っていたらお許しあれ。
 ところで、どうでもいいことでないので、植木さんをご存じないとは言わせないために言います。私の世代は天才がきら星の如く、排出していました。横浜マジカルグループの植木を知らない人は、もぐりです。この孤高の士こそがこれまでのこの世界を支えてきた人たちなのです。ほんとオーバーでなく。
 どの世界でもいえることですが、層の厚いということが、その世界の強さになり、社会でのステイタスになるのだと思います。私は、植木さんからいただいた、ゾンビーボールの私家本をいまだに大事にとってあります。
 迷いから始まり、神秘主義に陥り、魔法や妖術や超常現象を信ずる人にこそ、この本を見せたい。人間の理性は、そのトリックとミスディレクションという科学で、そしてパントマイムとその演技力によって、神聖という清く光り輝く、魂に似つかわしい球体を空中に浮揚させることができるということを。
 そしてそれこそが、凡人の我々ではなかなか、経験することのない、宗教体験そのものであるということを。人間の深層は、願わずには入られないのです。我々を超越する存在と、そして奇跡を。
 どうもまた話がそれたようです。少々、凄いことを書きました。じつはそれほど、この人との出会いは、強烈だったのです。
 この方法は、植木さんに初めて見せられた時は、プッシュオフで処理したのであろうと解ったような解らないような、気でいたのを、下河原君にきちっと教えてもらったのです。
 さて、解説は左の図を見ていただければ、わかると思います。ナゾは左親指の爪にあったのです。この爪をガイドにしてカードをデックのトップからセレクトするのです。
 これは誰の作か解りません。たしか、仲間の後輩に教えてもらったような気がするのですが、それもあやふやでたしかではありません。
 さて、説明が少々解りにくいかもしれません。まず「カードを一枚めくります。」と言う感じで、左の図のように、トップカードを一枚親指で跳ね上げ、その状態をよく客に見せます。
 次にそのカードを取り上げるのですが、そのとき右手の指は閉じた状態にして、中指でその跳ね上げたカードをつまみます。
 そう、その瞬間です。ネクストを跳ね上げてください。つまりは、右手がトップカードを取るとき、一瞬間カードをカバーします。その時にネクストを跳ね上げるのです。
 ところで、勘違いをしないでください。これは、サム シークレット カウント とは違います。やっていることは、同じと言えば同じですが、この場合は、目立つように大きく一枚を跳ね上げてください。
 


 人だかりの山の中で、それぞれが興奮していました。
 私も、意気揚々としていました。そのなかで人のよさそうな兄ちゃんが、オドオドト私にもできますといって、やって見せてくれたのです。
 これ、やられて見せられて、ドキッとします。二度は通用しませんが、なるほどなのです。
 ナゾは、右親指の爪にあります。この爪をガイドにしてセレクトします。
 
 ジーン・ヒューガードがその著書"Expert Card Technique"で解説している方法です。このやり方は、今までとはまるで発想の違うやり方で、彼の独創が垣間見られるやり方なのです。
 トップカードをブレイクするとは、これが簡単なようで、結構難しいのです。別項でもお話しましたが私の場合、小指が極端に短いので、小指そのものがデックのトップまで届かないのです。しかたがなく薬指でそれを代行させてしまうのですが、これが結構つらいのです。内心ひやひやしています。
 個人的にはそうゆう事なのですが、しかし一般的に言っても難しいです。トップカードをブレイクするタイミングが、なかなか見つからない場合が多いのです。
 さて、ヒューガードに戻ります。 ブレイクとは文字どうり、割って入るとか、亀裂をつくって侵入するとか、こじ開けるとか、めくりあげるとか、そういうイメージの技法なのですが、彼はまったく別の角度からそれを成し遂げたのです。
 左手にデックをグリップして、左図のようにデックを逆方向へずらします。もうここらあたりから、エッ??と思われる方が多いと思います。
 そこで、今度は右手でデックの前のエンドと後ろのエンドを挟み互いを押しあいます。するとデックのトップカードから何枚かのカードが、上方へたわみ隙間ができますが、この時何枚浮きああがったかを、左手の中指でカウントします。(右図)
 どうでしょうか、きわめてシステマチックな両手の動きだとは思いませんか。それにどうでしょうか、このやりかたなら、いかなる時にもトップカードをブレイクできると思いませんか。手の動きがほとんど動かないでできることが、最大の魅力となっているのです。
 たしか、柴田直光さんがその著書、「奇術種明かし」で解説している方法です。
 いきなりデックの後ろエンドを親指の付け根と小指で挟んでもびくともしません。
 そうする前に、図の2ヶ所の×印を互いに下へ曲げそれから、前記の動作へと入ってください。
 さすれば、トップより何枚かのカードが上方へタワミ曲がりして、隙間ができます。
 それを右手親指でセレクトします
 

 アクロバティックなダブルリフトなぞ聞いたこともなければ、見たこともない。これは、昔の自分の論文を読むと、"The Greater Magic Library" に掲載されている、ダイ・ヴァーノンのフラリシュ カウント をどうやらスタイルだけ模倣しているようです。ひまで練習することもなくなったら、試してみてください。
push
サムシークレット
   カウントする
サム シークレット カウント
 これは、デックのトップよりのカード何枚かを、ブレイクするための方法です。図で表現されているとうり、小指と親指でデックをバックルします。この時、親指でカードを上方へはじきながら、任意の数を数えます。デックは客側から見て、平行四辺形になっています。
 注意点としては、客側のコーナーをリフルするのですから、まる見え状態です。ですからどうすればよいか考えてください。右手でカバーすると言うのも一つの手ではあります。
 ところで、これをなぜダブルリフトで使ってみようかと思った理由はわかるでしょうか。じつは、感覚が研ぎ澄まされてくると、ダブルリフトの夢とでもいえる、プッシュオフと同じような印象でカードを左手親指のみでセレクトできるのです。
 しかし、もうやりません。本妻がいるのです。浮気をすることはないのです。危ういことをやる年ではなくなりました。
(ところで、ヴァーノンがあきらめた方法を、いかにも私は実現したように、動画まで見せていますが、これインチキです前にも述べましたようにヴィデオの解像度とはこの程度なのです。じっさいは5ミリぐらいずれています。)

B-2
B-1
A-2
A-1
 一応、一番一般的なリフトターンオーバーを二種類紹介しておきます。図を見て見当を付けてください。その他にもいろいろあるようです。知っている方はメールください。
今度は、ちょいと変わったやり方を、紹介します。これ大昔、私が考えた。だけど見せる機会もなければ、利用できる手順もない。馬鹿ですね、どうすんだろう、こんなにたくさん図まで描いて、まったく無駄のきわみです。ただしサムシークレットカウントだけは、何かの役に立つはずですから憶えておいてください。
 次は、またも顔を出す。"The Greater Magic Library" に解説されている方法です。 図を見ていただければわかっていただけたと思いますが、ようは右手の食指の先でトップカードをセレクトしたように見せると言うことです。
 そのために重要なのは、左手の薬指です。この薬指と、右食指でブレイクしてあったデックのトップよりセレクトしたカードをそのまま保持して右へずらすと言うことなのです。
 
リフト ターン オーバー
 次は、私のやり方です。このやり方は、私の出身であるH.M.S.のやりかたで、考案者はこの愛好会の創立者である、井関、竹田さんたちです。
 ただ、いきさつを二人に聞いてもあまりはっきりしないのですが、なんとなくやり始めた、と言うのが真相のようです。
 よろしいかな、だからこそよいのです。数多くのダブルリフトを見てきましたが、最も自然だし、自己主張がないのです。
 だからこそ、どのような手順の中にも、違和感なく自然と溶け込んでしまうのです。
 私はこのやり方が一番好きです。この何気なくこなせる過程の中に潜む、爆発力がなんとも魅力的なのです。ですからこのやり方しかやらないのです。
 さて、右手親指を、デックの後ろエンドに左から右へと這わせながらセレクトします。(写真の上)
 このとき最も大事なことを申し上げます。
 トップカードのみしかセレクトできなかった場合、どうするかです。
 この場合は、明らかに失敗なのです。やりそこなったのですから、あきらめてそのまま親指をデックの右側へそのまま逃がして、やりすごしてしまうことです。
 それをそうはせずに、その場でネクストを取ろうとしてはいけない。絶対にいけない。ワンアクションで済ませなくてはいけないのに、ツゥーアクションでとるということは、解りますよねそれだけで全てがおしまいになるということです。
 さて、そうは言ってもそうはならないようにするにはどうすればよいのでしょうか。
 これは、今まで私しかやっていないはずの方法を公開します。それは、写真の下のように、右手の親指の爪のアールをデックの上、六分の一ぐらいの場所に押し付けて、そこを少しへこませるようにするのです。
 さすれば、これでお解りと思いますが、はるかにやりやすくできます。
 ただこれも、しくじりそうな予感がしたときだけやるようにしています。
 
 30年前のスタンダードです。このやりかたは、当時慶応系のマジシャン達により多くやられた方法です。
 一応一番有名なやり方なので、最初に出張ってもらいました。
 木先生の著書「トランプの不思議」で解説されている方法で、当時最も普及していた方法です。
 それによると、ドクター、ヤコブ・ダレイとル・ポールの方法の折衷様式であるようです。
 デックを前から見ると平行四辺形、その右サイドを下から上へと、右食指を這わせながらセレクトする。
 人により上から下へと右食指を這わせる方がやりやすいという人もいる。
 ただこの時の右手の食指を突き出した形というか、姿と言うかこれがどうも独特の形になるのが、難点か?(写真、上)   

 近代技法の最高傑作は何かと問われたら、即座に答えます。ダブルリフトと、これだけは実は長い私のキャリアの中でも、その出現に予測のつかなっかた唯一のカードテクニックなのです。
 誰しもが自分の天才性を疑わない若かりしころ、これに出会って強烈なファイトが猛然とわいたのです。
 うれしかった。まだ自分程度には及びもつかないことがこの世にあるということをその時知ったのです。どういうわけかカードテクニックに関しては、前世から受け継いでいるD.N.A.が自分には全て備わっていると信じて疑わなかったのです。
 それゆえに、ほかのテクニックは私の予測の範囲だったのですが、ダブルリフトだけは違っていたのです。
 それを、見せられた時、本当にうれしかった。こんな簡単なことを何故自分は、気がつかなかったのだろうかと、不思議でしょうがなかったのです。
 さて、あまりにも簡単なことなので考案者は特定できません。そして、ギャンブラーは蚊帳の外です。これこそがどうも純粋にマジックから発生してきたようなのです。
 なぜかと言いますと、わが師アードナスはこれについては一語も述べていません。ですからまず間違いはないのではないかと思われます。
 その後、この技法は多くの方法が考案されてきました。それなのに面白いことに、私はいまだに一つの方法しかやりません。
 それほど、この技法には敬意を払っています。ほかの技法は、ご覧になっているように、悪く言えばこれ見よがしに、いろいろと取り揃えるが如く練習もしてきました。
 ですが、ダブルリフトだけは一つだけなのです。おそらく女房と同じなのかもしれません、若くて一番悩み多き時、その時に出会ったその方法しか私はやらないのです。動画でお見せした方法それのみです。
 そして、それこそが最後の何もやることがなくなったときに出てくる最後の最後のとっておきなのです。エギゼビジョンのアンコールの演技のようなものです。
 ですから、これだけの練習量は、私の中では最大量です。百万回は行っているかもしれません。
 ご存知のように、あまりにも多くのマジックに応用されています。ですからそのくらいの回数になっていてもおかしくないのです。
 さて、そうはいってもほかのやり方には興味がなかったかと言いますと、それは違います。おおいに興味もあり、また多くの刺激も受けました。
 そしてそれらそれぞれが、おおいに個性的なのです。一応、リフト ゲットレディを並べてみようと思います。玉石混交、ネットのホームページのごとく、いいものからそうでないものまで、いろいろです。
 ただ、残念なのは、私が20代にコレクションしたやりかたですので、若干古いかもしれません。もし、リフト ゲットレディの詳しい方いましたら、ぜひ教えてください。
 あと初心者の方には申し訳ないが、一体全体なにをどうしているかは、肝心なことは言いません。こんな簡単なことを、近代マジックはその五千年の歴史の積み重ねから、ものの見事に生み出したのです。ですから、そのくらいの苦労をしてください。
 私はマジシャンではないので、人に見せてやりかたを知りたがったら、すぐにその場で教えてあげます。サーストンの三原則??それはマジックでの話しに過ぎません。
 私のやっているのは純粋にカードテクニックです。教えてもすぐにできるという代物ではありません。ですから、やり方を教えても二度びっくりされることのほうが多いのです。
 ですが、ダブルリフトだけは、教えません。自分の女房を人に貸すほど、変態でもなければ、大馬鹿野郎でもありません。これは、論理の前提がまるで別物という、トリックの本質を生まれながらにその中に抱いている、黄金の赤ん坊なのです。

        (見当をつけてください。 質問にはお答えします。)


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