今は、国民皆金持ちみたいなところがありまして、休日は海外へ、と言うのがざらのようです。
 我々の時代は、家族旅行でも泊りがけとなると、大人になるまでに、2〜3回というのが、平均的な数字でした。ですから、学校で行く修学旅行は、児童全員の楽しみだったのです。
 そして、不思議と、皆が皆、見に行った場所が同じなのです。おかげで、というかその世代の共通体験と共通認識があるのです。
 恥ずかしながら、奥さんを口説く時も、修学旅行のときの話からでした。
 さて、そこで陳腐で申し訳ないが、あなたは、日光東照宮の陽明門を見に行ったことがありますか。
 我々の世代は、ほとんど全員が、「日光を見ないで、結構と言うな。」の号令の元(古いなぁ。これでも戦後生まれです。)、観に行っているのです。
 絢爛豪華でそれでいて小振りなのが、不思議とバランスいいのです。琳派の色彩感覚と、傑出した工芸技術が、何というか総合プロデュースした者の自身と、叫びと、見栄が、箱庭感覚のようなくすぐったさで、ちりばめられているのです。
 西洋人のように、大きくないのがいいのです。そしてもっと何がいいかと言いますと、神を含め他者のやっかみ、嫉妬を微笑するが如くかわしている点が、我が先祖たちよ、よくぞやったと思う点なのです。
 それは、クリエーターとしての礼儀であり、日本人の節度そのものではないかと思うのです。
 何が言いたいかお解りでしょうか。じつは、完全は完全ではないと言うことをいいたいのです。
 陽明門は、完全にシンメトリックでパルテノン神殿などと比較できるほどのできばえです。完全??そのような物がこの世に有るのでしょうか。そのように思えることのできた我々の先祖は、陽明門の柱を一本だけ上下逆にしてしまったのです。
 芸術家の気まぐれでしょうか、違います。完全な物と言うのは、人間の頭脳の中に存在するのであって、自然界には存在しえないことを、彼らは知っていたのです。
 さて、この強引な前ふりから、いきなり本題に入ります。それは、シャフルにも同じことが言えるのです。
 と言うことで、パーフェクト シャフル(完全なるシャフル)です。じつは、最近知ったのですが、パーフェクト シャフルは、アメリカ語のスラングで、スタッキング(stacking)といいます。
 その意味は、不正なシャフル??と言う意味です。どこが不正なのでしょうか、そして、それなら、何故フォールス シャフル(偽のシャフル)とは言わないのでしょうか、
 そう、このことをつい最近まで、薄く40年近く考えていました。そして、スタッキングと言う言葉があることを知って全てが氷解したのです。(なんだ、アメリカ人は解ってたのか、てなもんです。)
 さて、完全なシャフルとはどのようなものでしょうか、漠然とそういわれて返す言葉は、良くきれた、シャフル。とか、細かく切れたシャフルということではないかと思います。良く切れたシャフルとは、少々解ったような解らない回答ですが、しかしよくこういう言い方をします。
 ソリテール(クロンダイクやユーコンのような、カードの一人遊び)では、全部開いてあがりに持っていけるケースは、確率上限られています。ところが、ほとんど迷信のごとく、カードを良く切ればあがれると信じられています。
 私の親戚に、高等学校の数学の先生をやっている方がいるのですが、その人は、私が切れば、必ずソリテールはあがれると思っています。日ごろ私がカードでトレーニングしてる姿を知っているからですが、これなどは、まったく馬鹿げているのですが、確率論を教えている、数学の先生ですらそう思っているのです。
 さて、そういう誤解があまりにも多いのですが、これもカードの神秘性のなせる業かもしれません。
 そこで、解りやすいところから参ります。それではオーバー ハンド シャフルを完全にやるということになると、どうなるのでしょうか。
 それは、一枚づつカードを繰るしかありません。しかし、これははるかに問題が多いです。我々は、切ることに専念し完全を目指した時に、それは不可能であることを悟るべきだったのです。つまり完全をやろうとすると、あきらかにおかしな現象が顔を出してくるのです。
 考えなくても解ります。デックを上記の方法で二回シャフルをすれば、上から下まで、元どうりになってしまいます。
 完全とは、化学の時間に習った、理想気体とか、理想空間とか言う時の理想と同じで、思考実験上は都合が良くわかり易いのですが、現実世界に投影するとひどく奇妙な別の現象が現れてきてしまうのです。
 オーバーハンドシャフルは、これで済みますが、また誰もが経験上承知しています。しかしファーローシャフルになると、どうでしょうか、この事実を知っているのは、マジシャンとギャンブラーだけではないでしょうか。
 1.トップをスタックしてつまりトップはそのまま次もトップになるようにして、パーフェクトファーローシャフルをすると、8回やれば元に戻ります。これをシャフルの回帰性といいます。 
 2.常に一枚づつですので、カードのコントロールが、できます。
 3.あと、参加人数と、ゲームのルールが、確定すれば、どのプレーヤかを必ず勝てるようにすることも可能になってきます。マアジャンでいうところの積み込み。
その他は研究してみてください。まだおもしろいケースが、誰にも知られないで残っているケースが、かなりありそうです。

 そして、最初に戻ります。東照大権現神君家康公の遺訓の最後の一節です。「過ぎたるは及ばざるが増されリ。」(やりすぎはよくない、ほどほどにせよ) 

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