
さて次は、ル・ポールの番です。今、中学校の音楽では教えているのでしょうか?昔、サン・サンスーの作曲で動物の謝肉祭というクラシック曲を学校で教えてくれたのです。
その中であらわれる曲に亀のテーマがあるのですが、これがほとんどサン・サンスーのジョークで、有名な天国と地獄、よく運動会で景気づけにBGMで流すあのアップテンポの曲を滅茶苦茶にゆっくり演奏するとまさに亀の行進になると言う離れ業なのです。
似たように、ホフジンサーをゆっくり演技するとル・ポールになるのですが、ところがこれが軽薄な大間違いだったのです。
確かに連動している作業手順は同じかもしれないのですが、一見、細かくてどうでもよいような点が違うのです。
詳細は木先生の原稿をお読みください。ただその中で、馬鹿が落ち込みやすい注意を述べます。
ル・ポールのトップチェンジでは、決してやってはいけないことがあるのです。もう絶対にやってはいけないことです。なにゆえ先程から怒ったように言うかと言いますと。
若くて器用で勘所のよい人ほど訳もわからずやってしまいがちな愚かしいことなので自戒をこめていいます。昔、自分がそうだったのです。
おそらく動画を見ても気がつかないと思います。私はこの動作をおそらく一万回ではきかないほど繰り返し繰り返し練習をしています。なぜか、木先生の目指すものが漠然とわかったからです。
そして、真摯な気持ちになった時に気がついたのです。なんと自分が愚かしかったことをです。
さて、何がなんだかわからないことを先程から申し上げていますが、もう少し待ってください。 まずこのチェンジの特徴を言います。まずは、恐ろしく地味です。音もしなければ、作業前提もない。動作起点になる意味づけもなければ、静かに事だけが進んでいく。派手な動きもなければ鮮やかさもない。だが、ひじょうに美しい。審美的に美しい。
何故このような印象になるかお解りになるでしょうか。それがこのチェンジの最大の特徴でもあるのです。不思議なことに、カードのフェイスが変わると言う一大事が起きたのにもかかわらず、何処で変わったかがわからないのです。強いて言うと、両手とデックの周り、30センチ立方の空間の中??このようなことが実際にはあるのでしょうか??
YES。このほうがはるかに現実的なのです。なぜかよく考えてください。物体に何かの影響を及ぼしえる現象とは、物体が存在している空間そのものを、曲げるか、裂くか、ゆがめるか、すれば現実に可能となってくることになるのではないでしょうか。アインシュタインは空間の曲率にテンソルと言う量をあてています。
ということは、現実にありえるということではないでしょうか。だとすればそれは、えも言われないほどの美しさであるはずです。
さて、能書きが長かったです。ル・ポールのチェンジでやってはいけないこと、それはチェンジし終えたセカンドカードは必ず、違う指で持つこと。つまり原案どうり食指と中指で持つことです。
それをたいして、むずかしくもないので、最初のカードを持っていた親指と食指で再度持ち替えるような形で持ってはいけない。これは絶対にいけない。人間の視覚とは、そのような甘いものではない。
理由の1.動作の全体像の流れの中で、そこで手間どる可能性があるのでそうなったらすべてがおしまい。このチェンジは動作の流れが命、阿修羅の6本の手の如く、次々と移っていかなければならない。
理由の2.同じ指で2枚のカードをハンドリングすると、必ず二本の親指と食指の指先は、無意識に矢印のように2枚を取り替える動作をする、(写真の上)。
それは例え見えていなくとも客にはわかる。この何ミリかの不要な動きは、実は体全体に増幅され、なんとなく解る。人間の視覚とは予測値の範囲まで見えて認識している。
それゆえに、わざわざほかの指でとるようにする。
これが、ル・ポールの真骨頂なのです。左の中と下の写真を見てください、カードが挟まれている指は確かに違います。しかし、たいして差がないはずです。まず見て変だと思う人はいないはずなのです。この丸印の指の形が終始変わらないというのがこのチェンジの一番重要なことなのです。
ホフジンサーのチェンジは、1969年、ダイ・ヴァーノン来日の折、同行したラリー・ジェニングスが日本で初披露した方法です。
このチェンジについては、サイエンドフィールドがその著作で触れていますが、ここでは、普通のトップチェンジ(ル・ポール)と比較しながら話を進めていきたいと思います。
なお、基本的には奇研のNo.31 1963.秋に掲載されている、ル・ポールの方法を詳細に解説した、木先生の説明が日本では、たんにトップチェンジと言われた場合の手本とされています。(先生の哲学、ミスディレクションの洪水。解るかな?解らんだろうな?もう先生が若くて一番いい時の原稿ですから、ほとんど形而上学に近い奇跡の創出という概念にまでせまろうとしている。)
お解りだろうか、これに対抗できる説明など存在しえないのです。つまり、この手本が完璧なので、またより基本的なので、またよりモダンスタイルなので、しかたがなく、より古いがあざやか、より古いが難しい、こちらのホフジンサーを説明をしようと思います。
このチェンジは、上手になると何度繰り返してもまずバレません。動画では三回繰り返したのではないかと思いますが、始めて見た方でしたら、ため息ついて、老眼鏡は?とかいってある人は不機嫌になってしまうかもしれません。
1.スタイルの概略を説明します。まず左手でカードをグリップします。そしてトップカードを一枚右手で取り上げ、そのカードのフェイスを見せます。
この時、まさに皆の視線がフェイスの認識に向かったこの時に、左手デックのトップカードを一枚ブレイクします。(上の図)
このブレイクをどうやるかですが、普通にどうどうと、トップカードを一枚ずらし元へ戻し、デックとカードの間に、小指の肉を入れ、このブレイクを保持します。このときブレイクは小さければ小さいほどよいのですが、現実には右手の食指がズボッと入るほどの大きさになっています。
また私の場合、手の小指だけが極端に短いので、デックのトップカードをブレイクするのは、物理的に不可能なので、くやしいけどとどかないの?! しかたなく薬指でブレイクを保持しています。おそらく動画からは、それほどの露骨で大胆な作業を左手が、懸命に行っているとはどなたも気がつかないのではないかと思います。
2.うーん?とばかり、右手のカードの裏の汚れ?しみ?を取り除くような仕草で、カードをはじきます。(図の中と下)
3.何回かフェイクで同じ動作をした後、右手は持っているカードとデック上のトップカードを右手食指をブレイクの中に入れてしまって、入れ違いをさせます。
この入れ替える時ですが、もう一度ゆっくり説明します。右手に持っているカードはほとんどデック上のトップカードに、重ねあわせてしまいます。そして右食指を、ズボットあいている、ブレイクの中に入れ、そして食指で元のトップカードであった、現在セカンドになっているカードを引っ張り出してくるということです。
以上ですが、ちょっとしたことは、常に左手で右手カードをはじいている時の両手の型は同じであることと、その間、右手はカードを持ちながら、静止していると言うことです。はじく左手は手首をその場で回転させていることで、決して大きくスウィングさせてはいけません。
以上がホフジンサーです。


